• 検索結果がありません。

フィスコ企業調査レポートを掲載 最新情報 | 日本システムウエア株式会社

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "フィスコ企業調査レポートを掲載 最新情報 | 日本システムウエア株式会社"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

9739

東証 1 部

執筆:客員アナリスト

国重 希

FISCO Ltd. Analyst Nozomu Kunishige

 企業調査レポート 

日本システムウエア

(2)

要約

---

01

1.-2018 年 3 月期第 2 四半期は計画を大きく上回る増収増益決算-...-

01

2.-2018 年 3 月期通期は将来を見据えた戦略的投資を優先し当初予想を据え置き-...-

01

3.-中期経営計画では売上高 350 億円以上、営業利益 25 億円以上、ROE8.0%以上が目標-...-

01

会社概要

---

02

1.-会社概要-...-

02

2.-沿革-...-

03

事業概要

---

04

1.-事業内容-...-

04

2.-IT ソリューション事業-...-

05

3.-プロダクトソリューション事業...-

06

4.-IoT 事業-...-

06

業績動向

---

07

1.-2018 年 3 月期第 2 四半期の業績概要-...-

07

2.-財務状況と経営指標...-

09

今後の見通し

---

10

●-2018 年 3 月期の業績見通し-...-

10

中長期の成長戦略

---

12

1.-中期経営計画の目標...-

12

2.-新規事業の戦略-...-

12

3.-コア事業の戦略-...-

14

株主還元策

---

16

情報セキュリティ対策

---

17

(3)

要約

コア事業の高付加価値化に加え、IoT 分野の事業拡大を図る

日本システムウエア <9739> は、IT ソリューション事業とプロダクトソリューション事業を展開する 1966 年 創業の独立系 IT ソリューションプロバイダである。増収増益を続ける中、自己資本比率は 69.2% と財務の健全 性が高い。中期経営計画(2016 年 4 月− 2019 年 3 月)では、2 つのコア事業領域における高付加価値化に加え、 第 3 の柱として IoT(Internet of Things: 家電製品やセンサーなど様々なモノをネットワークに接続し、情報 収集だけでなく遠隔監視や制御を行い、商品開発やマーケティングに生かすこと)分野の事業拡大を図り、IoT インテグレータ No.1 を目指している。

1. 2018 年 3 月期第 2 四半期は計画を大きく上回る増収増益決算

第 2 四半期累計の業績については、IT ソリューションとプロダクトソリューション両事業における売上増加や 生産性(粗利率)の向上などから、売上高は 15,918 百万円(前年同期比 11.0% 増)、営業利益は 1,327 百万円 (同 50.4% 増)、経常利益は 1,343 百万円(同 49.2% 増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 913 百万円(同 47.9% 増)と大幅な増収増益決算となった。売上高は期初計画を 6.1% 上回り、また各段階の利益も同じく 4 割強上回った。なお、自己資本比率は 69.2%、前期末比 0.6 ポイント上昇し、東証 1 部の情報・通信業の平均(2016 年度実績 41.0%)を大きく上回り、財務の健全性は極めて高いと言える。

2. 2018 年 3 月期通期は将来を見据えた戦略的投資を優先し当初予想を据え置き

2018 年 3 月期通期は、売上高 32,000 百万円(前期比 4.3% 増)、営業利益 2,400 百万円(同 0.4% 増)、経常 利益 2,430 百万円(同 0.9% 減)、親会社株主に帰属する当期純利益 1,650 百万円(同 3.0% 減)を計画している。 成長に向けた戦略的事業投資を継続実施し、更なる事業規模拡大に向けコア事業の高付加価値化に取り組むとと もに、IoT 事業の強化・拡大を加速させていく方針である。ただ、中間期の好決算を見ると、かなり慎重な予想 と言えるだろう。また、配当については安定配当方針のもと、前期と同じく中間配当 10 円、期末配当 10 円の 合計 20 円を予定しており、配当性向は 18.1% の見込みである。当面は、増配より将来に向けた事業拡大を優先し、 競争力の維持・向上を図る意向である。

3. 中期経営計画では売上高 350 億円以上、営業利益 25 億円以上、ROE8.0% 以上が目標

(4)

要約

Key Points

・2018 年 3 月期第 2 四半期は大幅な増収増益で、売上高は期初計画を 6.1% 上回り、また各段階 の利益も同じく 4 割強上回った。

・-2018 年 3 月期通期は売上高 320 億円(前期比 4.3% 増)、営業利益 24 億円(同 0.4% 増)と、 当初予想を据え置き、将来を見据えた戦略的投資を優先。配当金は安定配当方針のもと、前期並 みの年間 20 円を予定する。

・中期経営計画では、「IoT 分野の事業拡大」、「コア事業の高付加価値化」などを掲げ、最終年度の 2019 年 3 月期には、売上高 350 億円以上、営業利益 25 億円以上、ROE8.0% 以上を目指す。

期 期 期 期 期 期 予想

(百万円) (百万円)

業績推移

売上高(左軸) 営業利益(右軸)

出所:決算短信よりフィスコ作成

会社概要

優れたシステムを創造、提供し、社会を豊かにすることを目指す

1. 会社概要

(5)

会社概要

同社グループは、同社のほかに、100% の連結子会社 4 社で構成されている。システム開発やインフラ構築事業 などを展開する NSW テクノサービス ( 株 )、中国において組込みソフトウエア開発事業などを展開する京石刻 恩信息技術(北京)有限公司のほか、一般事務に関する業務代行や支援サービスを行う障害者雇用特例子会社の NSW ウィズ ( 株 ) を傘下に持つ。また、2018 年 1 月にシステムインテグレーション事業などを展開する日本 ソフトウェアエンジニアリング ( 株 ) を子会社化した。事業拠点は東京以西に置いているが、取引先は全国にわ たり、官公庁・公共団体の他、製造業や流通業をはじめとして多くの大手企業を抱える。設立当初は、日本電気 <6701> グループとの取引が圧倒的に多かったが、近年はその他取引先の拡大に伴い売上高の 2 割近くに低下し、 年々取引の裾野は拡大している。中国子会社は、主に現地に進出している日系企業をカバーしている。

2017 年 3 月末のグループ従業員数は 2,009 人、うち技術者が 9 割近くを占めるエンジニア集団である。2013 年 4 月より多田尚二(ただしょうじ)氏が代表取締役執行役員社長を務める。

2. 沿革

同社グループは、独立系ソフトハウスとして 1966 年にソフトウェア開発事業及び受託計算事業からスタートし た。その後、1968 年に運用管理サービス事業、1978 年に現在のプロダクトソリューション事業に繋がるファー ムウェア及び論理回路に関する開発事業を開始。IT 技術の進化に伴い、1990 年にシステムインテグレーショ ン事業、1998 年にデータセンター事業、2009 年クラウドサービス事業、2013 年に IoT/M2M 事業を開始し、 事業領域を拡大してきた。

その間に、1982 年に現社名日本システムウエア株式会社に商号変更。1996 年に株式を店頭公開し、市場から 得た資金で山梨 IT センターを開設。1999 年に東証 2 部へ株式上場、2000 年に東証 1 部指定を経て、2016 年 3 月期には創業 50 年を迎えている。

事業の変遷

(6)

会社概要

沿革

1966年 8月 (株)事務計算センターを東京都港区に設立、ソフトウェア開発事業及び受託計算事業を開始 1968年10月 運用管理サービス事業を開始

1975年12月 自社ビル(現 本店所在地)を取得

1976年 2月 社団法人ソフトウェア産業振興協会 ( 現 一般社団法人情報サービス産業協会 ) に加盟 1978年 6月 ファームウェア及び論理回路に関する開発事業を開始

1980年 6月 オフィスコンピュータ及び OA 機器販売に関する事業を開始 1982年 3月 日本システムウェア株式会社に商号変更

1986年 3月 大阪営業所(現 大阪事務所)を開設、地方展開を強化 1986年 9月 新本社ビル竣工

1990年 2月 システムインテグレーション事業を開始 1990年 8月 100% 子会社の日本テクノウェイブ(株)設立 1996年 4月 日本証券業協会に株式を店頭登録

1997年10月 品質保証の国際規格 ISO9001 認証取得

1998年 8月 山梨ITセンターを開設、データセンター事業を開始 1999年 4月 東証 2 部に株式上場

2000年 3月 東証 1 部銘柄に指定

2002年 7月 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度認証取得 2002年 9月 エヌエスダブリュ販売(株)を設立

2005年 2月 環境に関する国際規格 ISO14001 認証取得

2007年 3月 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格 ISO/IEC27001 認証取得 2007年 4月 厚生労働省から次世代育成支援対策を推進している企業として認定 2007年10月 ITサービスマネジメントシステムの国際規格 ISO/IEC20000 認証取得 2009年 9月 クラウドサービス事業を開始

2009年10月 100% 子会社 NSW ウィズ(株)(現 連結子会社)を設立

2010年 4月 100% 子会社京石刻恩信息技術(北京)有限公司(現 連結子会社)を設立 2013年 5月 IoT/M2M 事業を開始

2013年 7月 日本テクノウェイブ(株)とエヌエスダブリュ販売(株)を合併し、NSW テクノサービス(株)(現 連結子会社) に商号変更

2018年 1月 日本ソフトウエアエンジニアリング(株)の株式を取得し子会社化 出所:ホームページよりフィスコ作成

事業概要

IT ソリューションとプロダクトソリューションがコア事業

その技術シナジーを活かした ‘IoT’ でイノベーティブな未来を創出

1. 事業内容

(7)

事業概要

2018 年 3 月期第 2 四半期累計のセグメント別売上高・営業利益を見ると、プロダクトソリューション事業が売 上高の 57.9%、営業利益の 33.5% を、プロダクトソリューション事業が売上高の 42.1%、営業利益の 66.5% を占める。プロダクトソリューション事業の利益率が相対的に高いのは、技術的な参入障壁が高く、独立系の同 社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。

セグメント別売上高・営業利益 ( 年 月期第 四半期累計)

売上高外側: 百万円 営業利益内側 百万円

プロダクトソリューション ソリューション

出所:決算短信、決算説明会資料よりフィスコ作成

2. IT ソリューション事業

(8)

事業概要

3. プロダクトソリューション事業

当セグメントでは、組込みソフトウェア開発事業として、オートモーティブ(自動車)向け、産業機器向け機器 などに搭載されるアプリケーション(使用者の業務に応じて作成したソフトウェア)やミドルウェア(コンピュー タの基本的な制御を行うオペレーティングシステムと、各業務処理を行うアプリケーションソフトウェアとの中 間に入るソフトウェア)、ドライバ(プリンタ、USB 機器などのパソコンに接続する周辺機器を作動させるのに 必要なソフトウェア)開発を行っている。また、デバイス開発事業として、画像処理や通信関連などの LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路。多数のトランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなどの電子部品を 1 つの半導体チップに組み込んだ集積回路)設計やボード設計(電子回路基板の設計)を行っている。LSI、ミ ドルウェア、アプリケーションの各開発領域を横断的に組み合わせたトータルソリューションを提供している。

4. IoT 事業

既述の既存 2 事業のノウハウ融合によって、第 3 の収益の柱への期待が大きいのが IoT 事業である。2013 年 からスタートした新しい分野で、まだ独立したセグメントとして収益を計上するには至っておらず、現状は、既 存 2 事業の収益に含まれている。

具体的には、IoT サービスに必要なセンサーやゲートウェイをはじめとするデバイス開発からクラウドサービス (インターネット上の複数サーバーを利用して、ソフトウェア、データベースなどの膨大な資料を活用するサー ビス)までトータル・コーディネートできる同社グループの強みを生かし、データを収集・蓄積し見える化を実 現するための基盤ソフトである IoT クラウドプラットフォーム「Toami(トアミ)」をベースに、データの蓄積 から分析活用まで、顧客の新たなビジネス価値の創出をサポートする。また、エッジデバイスソリューションで は、自社で組込みアプリから LSI まで対応できる豊富な設計・開発力と、各種センサー・デバイスベンダーと のアライアンスにより、コストを抑えたスモールスタートで顧客に最適な IoT 環境を提案している。

事業活動領域

(9)

業績動向

第 2 四半期は期初計画を大きく上回る好決算

1. 2018 年 3 月期第 2 四半期の業績概要

情報サービス産業界においては、製造業や金融業、流通業を中心に IT 投資は堅調に推移した。また、IoT やビッ グデータ活用ニーズが拡大するとともに、AI やロボティクスなど新たなソリューションへの期待が高まってい る。

このような状況のもと、同社グループは、中期経営計画(2016 年 4 月− 2019 年 3 月)において事業変革を加 速する「Drive Innovation」をスローガンに掲げ、「IoT 分野の事業拡大」、「コア事業の顧客基盤強化と高付加 価値化」に取り組んでいる。グループの総合力と技術融合により、顧客のビジネスにイノベーションをもたらす 価値創造パートナーとして持続的成長を遂げる企業を目指してきた。

これらの取り組みの結果、第 2 四半期累計の業績については、売上高は 15,918 百万円(前年同期比 11.0% 増)、 営業利益は 1,327 百万円(同 50.4% 増)、経常利益は 1,343 百万円(同 49.2% 増)、親会社株主に帰属する四 半期純利益は 913 百万円(同 47.9% 増)と大幅な増収増益決算となった。売上高は期初計画を 6.1% 上回り、 また各段階の利益も同じく 4 割強上回る好決算であった。

前年同期比増減の要因を見ると、売上高の増加は、IT ソリューション事業で 652 百万円、プロダクトソリューショ ン事業で 922 百万円増加したことによる。また営業利益の増加は、売上増に伴う増加 260 百万円、生産性の向 上(粗利率向上)190 百万円などが販管費増による減少 8 百万円を上回ったことによる。

2018 年 3 月期第 2 四半期累計 連結業績

(単位:百万円)

17/3 期 2Q 18/3 期 2Q 前年同期比 計画比 金額 売上高比 計画 金額 売上高比 増減額 増減率 増減額 増減率

売上高 14,343 100.0% 15,000 15,918 100.0% 1,575 11.0% 918 6.1% 売上総利益 2,406 16.8% - 2,860 18.0% 453 18.8% - -販管費 1,523 10.6% - 1,532 9.6% 8 0.6% - -営業利益 883 6.2% 920 1,327 8.3% 444 50.4% 407 44.2% 経常利益 900 6.3% 930 1,343 8.4% 443 49.2% 413 44.4% 親会社株主に帰属する

(10)

業績動向

セグメント別の業績を見ると、IT ソリューション事業では、全体の 6 割弱を占めるソリューション事業の売上 高は、金融・保険業向け、製造業向け、サービス業向けなどが堅調に推移し、前年同期比 8.6% の増収であった。 また、システム運用事業は既存顧客の対応領域拡大により同 2.9% 増、データセンター事業は業務アウトソーシ ングや AMO サービス(Application Management Outsourcing: 企業の情報システムや、そこで動作する業 務用ソフトウェアの運用や保守、管理などの業務を請け負うサービス)などの増加により同 2.9% 増、システム 機器販売も卸売・小売業を中心とした既存顧客向けの増加により同 17.2% 増となった。以上から、IT ソリューショ ン事業の売上高は前年同期比 7.6% 増の 9,209 百万円であった。また営業利益も、増収に伴う利益増、不採算案 件の減少などにより同 42.9% 増の 444 百万円と大幅増益となった。

一方、プロダクトソリューション事業では、組込みソフトウェア開発事業の売上高は、オートモーティブ分野、 設備機器分野などを中心に堅調に推移し、前年同期比 11.6% の増収であった。また、デバイス開発事業の売上 高も、半導体需要の増加を背景に画像処理、MCU(メモリー制御装置の略で、コンピュータに内蔵されている メモリーの管理や制御に必要な機構)等を中心に伸長し、同 20.8% 増と好調であった。以上から、プロダクト ソリューション事業の売上高は前年同期比 15.9% 増の 6,709 百万円であった。営業利益も同 54.4% 増の 883 百万円で、増収に伴う利益増、生産性向上などによりの大幅増益を記録した。

期 累計 期 累計 (百万円)

ITソリューション事業 売上高の推移

ソリューション事業 システム運用事業 データセンター事業 システム機器販売事業

期 累計 期 累計

プロダクトソリューション事業 売上高の推移

デバイス開発事業

組込みソフトウェア開発事業 (百万円)

(11)

業績動向

財務の健全性が極めて高い

2. 財務状況と経営指標

財務状況を見ると、2018 年 3 月期第 2 四半期末における総資産は、前期末比 903 百万円増加の 23,577 百万円 となった。これは主に、受取手形及び売掛金の減少(223 百万円)があったものの、現金及び預金の増加(874 百万円)、仕掛品の増加(338 百万円)があったことによる。総負債は、同 138 百万円増加の 7,264 百万円となった。 これは主に、役員退職慰労引当金の減少(308 百万円)があったものの、その他の流動負債の増加(341 百万円) 及び未払消費税等の増加(88 百万円)があったことによるものである。純資産は、16,312 百万円で、利益剰余 金の増加に伴い同 764 百万円の増加となった。

以上の結果、流動比率(流動資産 / 流動負債)は前期末比 0.8 ポイント低下したものの 290.9% で、短期的な支 払い能力は極めて高い。また、固定比率(固定資産 / 自己資本)も同 3.8 ポイント低下となったものの、51.3% と高く、固定資産(設備投資等)の調達は、返済期限のない株主資本で十分に賄われており、同社グループでは 借入金のない、無借金経営を続けている。自己資本比率は 69.2% と、同 0.6 ポイント上昇し、東証 1 部の情報・ 通信業の平均(2016 年度実績 41.0%)を大きく上回り、財務の健全性は極めて高いと評価できる。

連結貸借対照表

( 単位:百万円)

17/3 期 18/3 期 2Q 増減額

(12)

業績動向

経営指標

17/3 期 18/3 期 2Q

【安全性】

流動比率 (流動資産 / 流動負債) 291.7% 290.9% 固定比率(固定資産 / 自己資本) 55.1% 51.3% 自己資本比率 68.6% 69.2% 【収益性】

売上高営業利益率 7.8% 8.3% ROA(総資産利益率) 7.5% 3.9% ROE(自己資本利益率) 11.5% 5.6% 出所:決算短信よりフィスコ作成

当第 2 四半期末における現金及び現金同等物の残高は、配当金の支払及び有形固定資産の取得などの支出を営 業活動の結果得られた資金により賄い、前期末比 874 百万円増加し 5,726 百万円となった。各キャッシュ・フロー の状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,110 百万円の収入(前年同期比 391 百万円の収入 の増加)となった。これは主に、税金等調整前四半期純利益 1,343 百万円に対し減価償却費 254 百万円、売上 債権の減少額 223 百万円、たな卸資産の増加額 364 百万円、及び役員退職慰労引当金の減少額 308 百万円があっ たことによるものである。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、85 百万円の支出(同 148 百万円の支 出の減少)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出 62 百万円によるものである。さらに、財務 活動によるキャッシュ・フローは、149 百万円の支出(同 73 百万円の支出の減少)となった。これは、配当金 の支払額 149 百万円によるものである。

キャッシュ・フロー計算書

(単位:百万円)

17/3 期 2Q 18/3 期 2Q 増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー 719 1,110 391 投資活動によるキャッシュ・フロー -233 -85 148 財務活動によるキャッシュ・フロー -222 -149 73 現金及び現金同等物の四半期末残高 3,802 5,726 1,924 出所:決算短信よりフィスコ作成

今後の見通し

通期決算は計画を上回る可能性が大きい

● 2018 年 3 月期の業績見通し

(13)

今後の見通し

セグメント別には、IT ソリューション事業では、製造業向けや流通業向けパッケージソリューションを中心と した規模拡大と新サービスの創出による収益力強化により、売上高 19,500 百万円(前期比 5.2% 増)、営業利 益 1,100 百万円(同 3.1% 増)を、またプロダクトソリューション事業でも、既存事業の維持・拡大とコア技術 を基盤とした新サービス展開により、売上高 12,500 百万円(同 3.0% 増)、営業利益 1,300 百万円(同 1.7% 減) を計画する。

情報サービス産業界においては、企業収益の改善を背景に回復基調が続くものと期待され、また、「攻めの IT 投資」 として IoT やビッグデータの活用ニーズが拡大するとともに、AI や FinTech(金融と IT を融合した分野の技 術革新)など新たな分野への事業展開も本格化している。一方で技術者不足が常態化しており、人材の確保が大 きな課題となっている。

このような状況を踏まえ、同社グループは、中期経営計画の基本方針である「IoT 分野の事業拡大」並びに「コ ア事業の顧客基盤強化と高付加価値化」に取り組むとともに、戦略的事業投資やアライアンス拡充などにより「事 業基盤の強化」を図り、顧客のビジネスにイノベーションをもたらす価値創造パートナーとして、質の高いトー タルソリューションの提案を実践する考えだ。

既に見たとおり、2018 年 3 月期第 2 四半期累計の各段階の利益は通期計画の 55% に達したが、同社では慎重 に期初の通期予想を据え置いている。ただ、当第 3 四半期以降も経営環境に大きな変調がなければ、通期決算 は会社計画を上回って着地する可能性が大きいと考えられる。

2018 年 3 月期 連結業績予想

(単位:百万円)

17/3 期 18/3 期 前期比 実績 売上高比 予想 売上高比 増減額 増減率

(14)

中長期の成長戦略

2 つのコア事業領域の高付加価値化と IoT 分野の事業拡大を目指す

1. 中期経営計画の目標

同社グループでは、「Drive Innovation」(変革を成し遂げる)を旗印に、「IoT 分野の事業拡大」、「コア事業の 高付加価値化」を目指して、2016 年 4 月から 2019 年 3 月の中期経営計画を推進中である。そして、計画最終 年度の 2019 年 3 月期には、売上高 350 億円以上、営業利益 25 億円以上を目標にしている。現在は計画の中 間地点を折り返したところであるが、計画達成に向けておおむね順調に推移していると言えるだろう。計画達成 時には、営業利益率 7.0% 以上(2016 年 3 月期実績 6.7%)、ROE8.0% 以上(同 8.9%)を目指している。

中期経営計画の経営目標

出所:決算説明会資料より掲載

2. 新規事業の戦略

(15)

中長期の成長戦略

同社では、2013 年 5 月に販売開始した IoT クラウドプラットフォーム「Toami」を中心に、製造業を始めとす る各社の IoT ビジネスの立ち上げ・展開を支援している。同社の IoT サービスでは、独立系 SIer としての強み を活かしたコーディネート力と実現のためのツール群の拡充に注力しており、Toami を軸に、分析・AI、アプ リケーション、IoT プラットフォーム、エッジデバイスソリューション、センサーテクノロジーなどをワンストッ プでサポートしている。Toami の活用は次第に増えており、導入事例としては、堀場製作所 <6856> の医療用 機器向け総合保守サービス支援システムに採用されており、装置の稼働状況やメンテナンス時期をモニタリング し、装置の不具合を事前に予知・対応し、装置の計画的な管理により医療サービスの質向上に貢献する取り組み などがある。

同社の IoT サービス

出所:決算説明会資料より掲載

また Factory IoT の事例では、PTC ジャパン ( 株 )、日本ヒューレット・パッカード ( 株 ) との連携により、 自動車部品メーカーにおいて、生産ラインの効率化により生産効率や品質の向上を実現したいとのニーズに対応 し、サーバーを工場内に設置し、従来は手作業で行っていた検査データをリアルタイムに収集、分析することに より、機器や設備の異常に迅速に対応する仕組みを構築した。このため、1) 設備の異常への迅速な対応を可能 にし、不良率の低減を実現し、2) 蓄積されたデータを解析し、設備の故障や異常予測に活用を目指す、などの 効果を生んでいると言う。

(16)

中長期の成長戦略

こうして、同社グループの IoT 事業は実証・検証の段階から徐々に具体的なサービス導入も増え始め、産業機 器や医療機器の遠隔監視などの多くの用途で顧客に利用され始めている。継続した提案・販促活動によって商談 件数は増加し、新規顧客だけでなく既存顧客の深耕によっても受注は拡大している。現段階では具体的な実績を 開示していないが、IoT 関連の売上高は期待どおり拡大し、2018 年 3 月期第 2 四半期には前年同期比約 80% 増加しており、収益の第 3 の柱として育ちつつあるようだ。

IoT 関連売上高推移

出所:決算説明会資料より掲載

3. コア事業の戦略

中期経営計画の業績目標達成には、既存の 2 つのコア事業の領域拡大と深耕が不可欠である。まず、IT ソリュー ション事業分野においては、ソリューション事業では、ソリューションミックスと領域拡大による変革を目指し ており、パッケージビジネスの拡大、小売業向けトータルソリューションの確立、金融・公共分野のオープン化 対応などを計画する。また、システム運用事業及びデータセンター事業では、新規事業創造と収益力強化を図り、 クラウドサービス拡充によるストックビジネスの拡大、ビッグデータ基盤の整備、サービスのグローバル化対応、 リモート運用や AMO の拡充などを挙げている。

(17)

中長期の成長戦略

コア事業の領域拡大と深耕

出所:決算説明会資料より掲載

足下の実績では、特にデバイス開発事業の成長が著しく、2014 年 3 月期以降、同事業の売上高は年平均成長率 18.3% で拡大を続けている。同社では、半導体の製造工程において、製品が量産される前の仕様検討、設計、試作・ 評価を担っているが、長年にわたる半導体設計のノウハウと豊富な実績を持ち、画像処理や通信制御などの各分 野で、低消費電力設計や先端プロセスに対応していることから、自動車、カメラ、スマートフォン、プロジェク ターなど多くの製品に活用されている。

また、半導体設計で培った画像処理技術を軸とした新しい取り組みとして、機械学習の一種であるディープラー ニング(深層学習)による画像解析サービスにより、トンネルの岩盤強度の測定を行っている。さらに、錯視を 誘発する画像処理により、コンクリートのひび割れ点検システムを開発している。

(18)

株主還元策

将来の事業成長と経営基盤強化に備え、

安定的かつ継続的な配当方針を継続

同社は株主に対する利益還元を経営の重要政策の 1 つとして位置付け、安定的かつ継続的な配当を実施してい くことを基本方針としている。剰余金の配当は、内部留保資金の充実を図りながら、当該期の利益水準、配当性 向、将来の業績動向等を総合的に勘案した上で決定する考えだ。また、内部留保資金については、将来の事業拡 大並びに経営基盤強化に備え、競争力の維持向上に努めていく意向である。

同社では健全な自己資本水準を維持するとともに、ROE8% 以上の持続的成長を目指している。また、注力事業 である IoT やオートモーティブ分野、さらには同社の強みを発揮できる分野には積極的投資を行う計画である。 こうした方針を踏まえ、株主還元については、年間 20 円以上の安定配当を継続する考えだ。なお、2016 年 3 月期は、創業 50 年の記念配当(年間 15 円)を実施し、年間配当は 30 円であった。

2018 年 3 月期は前期と同様に、中間配当 10 円、期末配当 10 円、年間配当 20 円とする予定であり、配当性 向は 18.1% の見通しだ。同社では売上高 400 億円~ 500 億円へのさらなる拡大を目指しており、その過程で M&A に資金を投じる可能性もあることから、当面は増配より将来に向けた事業拡大を優先し、競争力の維持・ 向上を図る意向のようだ。

期 期 期 期 期 期(予)

配当金と配当性向の推移

期末配当金(左軸) 中間配当金(左軸) 配当性向右軸)

(円) ( )

(19)

情報セキュリティ対策

「情報セキュリティ基本方針」に基づき対策を実施

同社は、業務上保有する情報資産に対する機密性、完全性並びに可用性の確保及び維持を図り、社会の信頼に応 えるために「情報セキュリティ基本方針」を定めており、より高度な情報セキュリティ管理体制の構築・維持・ 改善に努めている。

(20)

本レポートはフィスコが信頼できると判断した情報をもとにフィスコが作成・表示したものですが、その 内容及び情報の正確性、完全性、適時性や、本レポートに記載された企業の発行する有価証券の価値を保 証または承認するものではありません。本レポートは目的のいかんを問わず、投資者の判断と責任におい て使用されるようお願い致します。本レポートを使用した結果について、フィスコはいかなる責任を負う ものではありません。また、本レポートは、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行 動を勧誘するものではありません。

本レポートは、対象となる企業の依頼に基づき、企業との電話取材等を通じて当該企業より情報提供を受 けていますが、本レポートに含まれる仮説や結論その他全ての内容はフィスコの分析によるものです。本 レポートに記載された内容は、資料作成時点におけるものであり、予告なく変更する場合があります。

本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はフィスコに帰属し、事前にフィスコへの書面による承諾 を得ることなく本資料およびその複製物に修正 ・ 加工することは堅く禁じられています。また、本資料お よびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。

投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるよう にお願いします。

以上の点をご了承の上、ご利用ください。

参照

関連したドキュメント

事  業  名  所  管  事  業  概  要  日本文化交流事業  総務課   ※内容は「国際化担当の事業実績」参照 

事 業 名 夜間・休日診療情報の多言語化 事業内容 夜間・休日診療の案内リーフレットを多言語化し周知を図る。.

継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、×年4月1日から×年3月 31

Q7 建設工事の場合は、都内の各工事現場の実績をまとめて 1

本事業を進める中で、

⑤  日常生活・社会生活を習得するための社会参加適応訓練 4. 

シンガポール 企業 とは、シンガポールに登記された 企業 であって 50% 以上の 株 をシンガポール国 民 または他のシンガポール 企業

なお、2011 年度のコスト削減額の実績は、緊急特別事業計画で掲げた 434 億円を 12 億円 上回る 446